10mの高さ制限による厳しい条件のもと、景観に配慮した勾配屋根3階建ての2棟全57住戸の共同住宅とした。一部の居室仕上げをCLT現しとし、木の持つ癒やし効果や調湿性も活かしつつ、全住戸を高齢者仕様（UD）対応可能な計画とした。CLTの良さを最大限に生かすため、ルート３による構造設計を行い、パネルの大版化により工期短縮や金物の削減を実現した。CLTパネルの高い剛性を生かした1.6mの跳ね出しにより南面の奥行きのある広いテラス空間を実現するとともに、CLT現しの外壁を部分的に採用しリズミカルな変化が感じられる外観を目指した。住棟北側の開放廊下のルーバーとEVホール棟の外壁にはWood ALC（外壁用木製集成材）を採用し、団地に木の暖かさが感じられるような景観形成を狙っている。単調になりがちな住棟を分節配置し、外部空間は各住戸から共用庭、コミュニティサロン、公開空地へと段階的なコミュニティの形成が図れるような路地空間と広場を適正配置した。
（設計者：（株）白井設計　代表）